レフティギター練習記

脳の疾患が見つかりギターが思い通りに弾けなくなりました│ 局所性ジストニア│フォーカルジストニア│東京女子医科大学病院

どうもこんにちは中前議晴です。
今回は超、めちゃくちゃ重要なお話です。

ギターを弾いている人であれば、誰にでも起こり得る病気について話していきます。

すんごい頑張ってるのに思うようにギターが弾けないな、と思っている方
もしかしたら知らないうちにこの病気にかかっているかもしれません。

ちなみに自分はこの病気ということを約半年前に診断され、現在ギターを弾くことが困難になっています

局所性ジストニアとは

みなさん局所性ジストニア、という病気を知っていますか?

フォーカルジストニア(Focal dystonia)とも言われる病気で、自分ではやりたくない動きを体が勝手に動作してしまう脳の病気です。

例えば

  • 文字を書いている時だけ、意思に判して手が固まってしまい文字をうまく書くことができない
  • ピアノを弾く時だけ指に力が入ってしまいいつも通りに演奏ができない

私生活などでは問題がないのに特定の動きをした時にだけ症状が出てしまう
それが局所性ジストニアと言われています。

この病気は一昔前までは” イップス “や” スランプ “などと呼ばれ、心の病と勘違いされていたようですが、
れっきとした脳の病気という事のようです。

通常、人が動作を行う時は脳からこうやって動かすという信号が出て、
それが神経を伝い身体を動かしてるわけですが

間違った動作を繰り返すことにより、その間違った動作を脳が記憶してしまい
やりたくもないのに勝手にその動作をしてしまう。

これが局所性ジストニア
別名フォーカルジストニアと呼ばれる病気です。

書道家やピアニスト、バイオリニスト、自分のようなギタリストなど、
同じ動きを繰り返し行う人に起こりやすい病気のようです。

結論から話してしまうと、自分は局所性ジストニアだと約半年前に診断されました

2年くらい前から「なんかギターが弾きにくいな」と思っていて、
「練習不足のせいかな?」とか「フォームが変わってしまったのかな?」

なんて思って、今まで以上に練習時間を取ってみたり、フォームを変えて練習してみたりしていました。

これがより局所性ジストニアを悪化させることになったと病院の先生からは言われてしまいました。

局所性ジストニアの症状

ギタリストの局所性ジストニアは、右手・左手どちらにも症状が出ることがあるようで、
右手の場合はピックが持ちにくくなったり、力が入ってしまい上手くピッキングができなくなってしまう事があるようです。

自分の場合は弦を押さえる為の左手中指が、意思に反して下に落ちてきてしまうという症状です。

中指が落ちてきてしまう為、薬指から人差し指にかけての弦移動の際に中指が邪魔をしてしまったり、
プリングをする際に中指が落ちてきて弦に触れてしまう為、音が止まったりと、かなり弾きにくい症状となっています。

うえの動画内に実際の様子があるのでご覧ください。

2021年6月21日の映像なので病院へ診察に行く前に先生に症状を見てもらう為に撮影した映像です。

もう定番中の定番のペンタフレーズなので、このフレーズなんて20年前に覚えて、
使用頻度も無茶苦茶高いから簡単に弾けるはずなんです。

それが弾けない。

中指落ちてきてプリングした先の音を止めてしまう、だから音が出なくなる。

中指が落ちてくるのを防ぐために小指で引っ張って耐えるんですが、それでも落ちてきてしまう。

こんな風に普通に弾けてたはずのフレーズが弾きにくくなったりする訳です。

局所性ジストニアなんて病気の事は全然知らなかったので、

さっき話したように、イップスとかスランプかな?
もっと練習しなくちゃダメなのかな?

とか思ってもっと弾いちゃう訳ですよね。

それがより病気を悪化させることになるみたいです。

痛みが出る訳でもないし、症状も徐々に進行してくるので気が付きにくいんです。

すんごい頑張って練習してるのに思うように指が動かない、
不器用なのかな?ギターが弾けないな?と思っている方は
もしかしたら知らないうちに局所性ジストニアにかかってしまっている可能性も考えられます

患わないために繰り返しを避ける

特定の動作を繰り返すおこなう事によって、脳がその動きを記憶してしまい
勝手に記憶した動きをしてしまう

これのが局所性ジストニアだと言われています。

正しい動きを反復して覚え込ませるのが普通の練習ですが、
間違った動きを脳が覚えてしまう
、これが問題のようです。

病院の先生から言われたのは
「間違った動きを繰り返さない事」
それだけでした。

でもギターの練習って反復練習が殆どなので、繰り返さないって難しいですよね。

真面目な人ほどなりやすい、とも言われたので
同じフレーズをずっとやり続けないとか、
色んなフレーズを交えて練習するという事が必要なのかと思います


良く考えてみると、弾けないフレーズ1小節だけを1日中繰り返してたり、
それを1週間繰り返したりとかしていたので、それもこの病気の原因になってしまったのかな、とも思います。

治療方法・定位脳手術

治療方法は脳の外科手術となります。

頭蓋骨を開けて、間違った信号を送っている個所を見つけ焼ききる
定位脳手術で運動機能が改善するようです。

脳のどの位置を焼けばいいのか?
を知るために脳に電極を差し込み確認します。

その確認を行う為に局所麻酔で、ギターを弾きながらの手術となり、
悪い部位を刺激されると一時的に機能が回復する為、確認ができ次第その部位を焼く手術です。

出典:東京女子医科大学病院

術後の副作用

病院側が言うには、この手術でジストニアの症状は治るという事ですが、
手術で脳を焼くため、脳の一時的な腫れから起こる副作用はこちら。

  • 言語障害
  • ろれつが回らなくなる
  • 歩行障害

通常は数カ月で治るとの事でしたが、ネットで調べてみると術後数年たっても
しゃべり難そうにしてる方の映像があったり、
ジストニアの症状は治っていても、もとのようにギターが弾けなくなっているという方を多くみかけました。

ジストニアの症状は治っても、ギターの演奏能力もリセットされてしまうので
殆ど一からの練習が必要となるとの話も多く見かけました。

また、医学的な根治とギタリスト的な根治は違いますしね。

もちろんこの手術で回復し、現役バリバリでギタリストとして活躍されている方もたくさんいます。

ただ自分には手術へ踏み出すにはリスクが高いと考え手術はしていません。

ちなみに1週間ほどの入院で保険適用で費用は約10万円ほど。

手術ができる先生が限られているため、手術を受けることができるのは
新宿の東京女子医科大学病院と埼玉県の三愛病院だけという事です。

なぜ気が付いた?

なんで気が付いたのか?という所なんですが、

2021年5月20日に、宮脇敏郎さんとコラボ動画の撮影をさせていただいたんですよね。

その時に「最近どう」「コロナの影響どう?」みたいな話から
最近ギターが弾きにくくて、という相談をさせていただきました。

その時に宮脇さんから「もしかしてジストニアじゃないよね?」って話をいただき、
「まさかね~」なんて思って撮影を終え帰路についたんですが、

家に帰ってから調べてみると当てはまってる症状の多い事!

ただギタリストで出てくるのが右手の症例や体験談ばかりが出てくるんですよ。

自分の様に左手の症状だったり、中指が落ちてきてしまうという症例は見つかりませんでした。

だからこの時はまだ“自分は局所性ジストニアではない”という希望を持っていました。

でもあまりにギターが弾きにくいので、近くの脳神経外科を探して診察を受けてみましたが、
ジストニアと言う病気事体、まだ未知の部分が多いらしく、一部の人でないと診ることができないということでした。

そこでは脳に腫瘍が無いか、頚椎に異常がないかなどMRIを2度撮り、
問題がなかった為、局所性ジストニアの権威である平先生のいる
新宿・東京女子医科大学病院への紹介状をいただいて診察しに行くわけです。

そこで持参した紹介状・資料を見てもらい、症状を話したところ局所性ジストニアであると診断が下りました。

正直ショックというのもありましたが少し安心した、というか
やるべきことが見えて良かったという感想でした

ここまで練習して、やれることはやってきたのに上手くならなくて、
挙句の果て病気じゃなかったら、ただ下手なだけになっちゃいますからね。

ショックなんだけど自分のせいじゃないんだと安心した、という矛盾した気持ちだったのを覚えています。

レフティへ転向

先ほど話したように手術はしない方向で考えています。

あと治療法として投薬もあるようですが、薬を飲んでいる時は一時的に症状が緩和されても
根本的な解決には至らない
ようなのでこれもどうかと思っています。

あとは長年休ませる。
そうすると間違って覚えてしまった動きを忘れさせることができるとか。

とは言え20年ピアノを弾かなかったら治った、とかのレベルなので現実的ではないですよね。

色んな事を調べ、実際に局所性ジストニアになったギタリストの先輩方の話も聞き、考え、
出した結論はレフティへ転向する、これです。

幸いなことに右手で弦を押さえてる分には、局所性ジストニアの症状は出ません
右利きで20数年やってきたことを、今更レフティへ変えるというのだから無謀なこともわかっています。

でも今のまま弾き続けても上手くなることはないんですよね。
それどころか弾けば弾くほど悪化すると言われてしまいました。

ギターって本当に楽しいですし20年以上弾いててもまだまだ本当に好きなんですよね

バンドでステージに立って、照明浴びで爆音でギター弾いてる時って最高じゃないですか!

なのでこの先何年かかるか分かりませんが、レフティで右利きの全盛期を越えられるよう
やっていこうと思っています。

というより、局所性ジストニアの診断が下る少し前から実はレフティの練習を始めていました。

公表しないでやり過ごそうかとも考えたのですが、
みなさんにも起こりうる病気なので知っておいて欲しいという事、

30半ばの自分が今からでもギターが弾けるようになるんだ!
という事を証明できるチャンスなのではないか!

と思い、今回この動画で公表させていただきました。

もちろん右利きでまったくギターが弾けなくなったわけではないので、
動画も続けていきますし、レフティで再度練習している経験を生かしてレッスンも継続していきます。

バンドプロジェクトのFlickDownも継続していきます。

何年かかるか分かりませんが、レフティのギターを抱えて
ステージでみなさんの前に立つことが目標です。


その時は是非見に来てください!

そしてレフティでの練習の様子はYouTubeの動画や、このブログ、Twitterでも経過報告していこうかと考えていますので
チャンネル登録やいいね!コメントなどで応援していただけると練習の励みになります。

レフティでの新しいチャレンジ、応援していただけたら嬉しいです。
そしてこれからも一緒にギターを楽しんでいきましょう!

でも練習のし過ぎで僕の様にならないようにくれぐれも注意してくださいね!

ではでは、また次回!
長い話を最後までお聴きいただきありがとうございましたー!

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